個人事業主でも電気工事業登録できる?一人親方の要件と手続きを解説

- 個人事業主でも登録電気工事業者になれる。法人化は登録の必須条件ではない。
- 一般用電気工作物の工事をするなら「登録」、自家用のみなら「通知」が必要になる。
- 営業所ごとに主任電気工事士の設置が必須で、第一種電気工事士か、第二種+実務経験3年以上が条件。
- 営業所が1都道府県内なら知事、2都道府県以上なら経済産業大臣への申請になる。
- 登録せずに対象工事を営むと1年以下の懲役または10万円以下の罰金がある。
電気工事業登録 個人事業主 できるの結論

個人事業主でも電気工事業の登録は可能です。法人でなければ登録できない、という決まりはありません。
電気工事業法の対象となる電気工事を業として行うなら、個人・法人を問わず原則として登録または届出が必要です。逆に言えば、個人事業主だからという理由で門前払いされることはありません。
所要時間の目安をお伝えすると、書類が揃ってから申請、登録通知が手元に届くまでで、私の実務感覚ではおおむね1か月前後です。難易度は、要件さえ満たせば決して高くありません。
一人親方は登録電気工事業者になれる?
一人親方でも登録電気工事業者になれます。従業員が自分一人でも、要件を満たせば問題ありません。

ここで押さえておきたいのが、手続きには区分があるという点です。一般用電気工作物に係る工事などを行う場合は「登録電気工事業者」、自家用電気工作物のみを行う場合は「通知電気工事業者」になります。
自家用のうち、最大電力500kW未満の需要設備のみを対象にする場合は「電気工事業開始通知書」の手続きになる、と公的なQ&Aで整理されています。自分がどの工事をやるかで、踏む手続きが変わります。
なお、建設業許可を持っていても電気工事業法上の手続きは別途必要です。許可があるから登録は不要、と思い込んでいる方が現場にいますが、これは誤りで、みなし登録・みなし通知の手続きがいります。
一人親方が登録電気工事業者となるにあたり必要な要件
必要な要件は大きく2つ、「営業所ごとの主任電気工事士の設置」と「機械器具の保有」です。
主任電気工事士の設置は登録要件として公的資料に明示されています。一人親方の場合、自分自身がこの主任電気工事士を兼ねるのが一般的です。
| 要件 | 具体的な中身 |
|---|---|
| 主任電気工事士の設置 | 営業所ごとに1名。自分が資格者なら自分で兼ねられる |
| 機械器具の保有 | 絶縁抵抗計など必要な測定器を備えていること |
| 欠格事由に該当しないこと | 誓約書で確認される |
正直に言うと、一人親方で詰まるのはほぼ主任電気工事士の条件です。機械器具や誓約書は揃えれば済みます。
主任電気工事士の選任要件

主任電気工事士になれる条件の一つは第一種電気工事士で、第二種電気工事士の場合は免状交付後3年以上の実務経験が必要です。
つまり、第一種を持っていれば実務経験の年数は問われません。第二種しか持っていない方は、免状をもらってから3年の経験を積んで初めて主任電気工事士になれる、という流れです。
| 保有資格 | 追加で必要な経験 |
|---|---|
| 第一種電気工事士 | 不要 |
| 第二種電気工事士 | 免状交付後3年以上の実務経験 |
私のところに相談に来る一人親方で多いのが、第二種を取って独立を急ぐケースです。免状交付後3年に届いていないと、その時点では自分を主任電気工事士にできません。ここは独立のタイミングを左右する要件なので、早めに確認してください。
必要な機械器具の保有
登録には、電気工事を適正に行うための測定器など機械器具の保有が要件になります。

具体的に何を備えるかは行う工事の種類で変わりますが、一般用電気工作物の工事であれば絶縁抵抗計や接地抵抗計、回路計といった基本的な測定器が前提になります。手元に道具が揃っていることを申請で示します。
これは独立時の初期投資にも直結します。後半のデメリットでも触れますが、工具や機械の購入は自費です。新品でひと通り揃えると、それなりの出費になる点は覚悟しておいてください。
一人親方が登録電気工事業者となるにあたり必要な手続き
手続きは「自分の工事区分を確認する→書類を揃える→営業所所在地の申請先へ提出する」という流れです。
一人親方の場合、通常は自宅住所が主たる営業所になります。そのため提出先はその自宅がある都道府県になることが多いです。
ここで先回りの注意を一つ。登録や届出をせずに対象工事を営むと、1年以下の懲役または10万円以下の罰金という罰則があります。「軽微な工事だから」と自己判断で省くのは危険です。軽微な工事は登録不要という例外はありますが、自分の工事がそれに当たるかは事前に確認してください。
用意する書類

個人の場合に用意する書類例は、住民票、主任電気工事士の免状、誓約書などです。
これらは都道府県の案内で確認できます。私が実際に申請を進める際は、ここに登録申請書本体と、主任電気工事士の実務経験を示す書類(第二種で経験要件を使う場合)を加えて組み立てます。
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 登録申請書 | 申請の本体 |
| 住民票 | 個人の場合に必要 |
| 主任電気工事士の免状の写し | 第一種、または第二種+経験 |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しないことの確認 |
うまく揃わないときは、提出先の都道府県の電気工事業担当窓口に、最新の様式と必要書類リストを直接もらうのが確実です。様式は自治体ごとに細部が違います。
書類の提出先
提出先は営業所の所在地で決まり、1都道府県内のみなら都道府県知事、2以上の都道府県に営業所があるなら経済産業大臣(実務上は所管の産業保安監督部)です。

一人親方は自宅が営業所になることが多いため、ほとんどの方は自宅のある都道府県知事への申請で完結します。複数県に営業拠点を構えない限り、大臣登録は気にしなくて大丈夫です。
| 営業所の状況 | 提出先 |
|---|---|
| 1つの都道府県内のみ | 都道府県知事 |
| 2つ以上の都道府県にまたがる | 経済産業大臣(産業保安監督部) |
登録申請後の流れ
申請後は、窓口での審査を経て登録通知書が交付され、それを受け取って初めて正式に営業できます。
- 自分の行う工事が「登録」か「通知」かを確認する。ここを間違えると申請区分ごとやり直しになる。
- 住民票・免状写し・誓約書など必要書類を揃える。様式は提出先の都道府県のものを使う。
- 主たる営業所のある都道府県の窓口へ申請書一式を提出する。
- 審査を受ける。不備があれば補正の連絡が来るので速やかに対応する。
- 登録通知書を受け取る。これが手元に届いた状態が、営業を開始してよい合図。
「ここまでできていれば正しい」の目安は、登録通知書(または登録番号)が手元にあること。これが無いうちに工事を請けてはいけません。私の実務感覚では、書類が整っていれば提出から1か月前後で通知が届きます。
この手順を踏めば、個人事業主のまま登録電気工事業者として開業できます。
電気工事業登録の更新

電気工事業の登録は一度取れば終わりではなく、更新が必要です。期限を過ぎると登録が失効する点に注意してください。
更新では、登録時と同様に主任電気工事士の設置が続いていること、機械器具を保有していることが前提になります。一人親方は自分が主任電気工事士を兼ねているので、自分の資格と営業実態が続いていればそのまま更新できます。
正直なところ、更新でいちばん多いトラブルは「うっかり期限切れ」です。失効すると改めて新規登録になり、手間が増えます。手帳でもカレンダーでも、期限の数か月前にリマインドを入れておくのが現実的な対策です。
更新サイクル
更新は定められたサイクルで繰り返し、期限内に申請しないと登録が失効します。

更新の年数・費用・必要書類は提出先によって運用が異なります。確実な数値をここで断定するより、私が実際にやっているように、登録通知書に記載された有効期限と、提出先都道府県の最新案内を突き合わせるのが確実です。
更新時の注意点を一つだけ。登録時から営業所の住所や主任電気工事士に変更があった場合は、更新とは別に変更届が必要になることがあります。引っ越しや屋号変更をした一人親方は、ここを見落としがちです。
よくある質問
個人事業主の電気工事業登録について、相談現場で実際によく聞かれる質問をまとめます。
よくある質問
最後に私から一言。第二種電気工事士で独立を考えているなら、免状交付からの実務経験が3年に届いているかを真っ先に確認してください。そこさえクリアできれば、個人事業主のまま登録電気工事業者になる道は十分に現実的です。
